スペシャル対談 岸朝子氏×尚承

「我那覇畜産やんばる島豚 あぐー」のおいしさを語る

料理記者・岸朝子氏と料理監修・尚承氏のスペシャル対談が実現。
「金魚すさび」神戸三宮店にお越しいただきあぐー豚の魅力について語っていただきました。

岸 朝子

脂が甘く、まろやかでとろけるよう。最上のあぐー豚ね

料理記者 岸 朝子

両親が沖縄県出身であり、母親が琉球王朝の後裔であることから、幼少の頃より沖縄の味に慣れ親しむ。株式会社エディターズ代表取締役。フジテレビ系『料理の鉄人』に審査員として出演。著書多数。料理記者歴50年以上の間に培った“審味眼”が絶大な信頼を得ている。

コレステロールは一般の豚肉の1/4。ビタミンB1も豊富です

料理開発担当 尚 承

沖縄料理家。琉球王朝最後の王のひ孫にあたる。NHK連続テレビ小説「ちゅらさん」の料理指導を担当。NHK「きょうの料理」講師。

料理記者として50年以上のキャリアをもつ食の達人・岸朝子氏と、現在「あぐー屋」を運営するワールド・ワングループの料理監修を務める尚承氏が「金魚すさび」神戸三宮店において琉球料理とあぐー豚の魅力について語った。

民族料理になっていたかもしれない琉球料理

尚 承
まずは沖縄料理の特色についての話をお伺いしたいと思います。
沖縄の料理には宮廷料理を意味する“琉球料理”と、庶民の知恵によって育まれた“沖縄料理”がありますが、日本料理とはちょっと違うんですよね。今でも琉球王朝が続いていたら、エスニック料理(民族料理)になっていたかもしれないと思いますね。
岸 朝子
そうね。琉球料理は、おもてなし料理。
王朝時代は、中国、韓国、東南アジアなどさまざまな国との交易が盛んだったから、さまざまな国の料理の影響を受けているんですよ。とくに琉球の新しい国王が即位するたび、冊封使(サッポウシ)※1 を迎える儀式は、大切な国家行事だったから、わざわざ中国へ包丁人を派遣して本格的に料理を学ばせたりしているのね。
ですから中国からの影響は大きかったと言えるわね。また、17世紀初めには薩摩藩の管理下にありましたから、沖縄での日本料理と言うと薩摩料理がベースとなっているのよ。
尚 承
なるほど。では現在の沖縄の代表料理といえば、やはり“豚肉料理”が一番に挙がりますが、その豚も、中国から輸入されて養豚が盛んに行われるようになっていったという背景があるんですよね。
琉球在来黒豚「あぐー」の原種は、14世紀に伝えられたといわれています。
岸 朝子
日本人が一般に肉類を食べるようになったのは明治維新以後でしょう?
沖縄の人も、昔から豚肉を食べていたように思われるけど、庶民にまで広がるのは18世紀半ばになってからなの。
各家で豚を飼っていたけれどやっぱり貴重で、お盆やお正月などハレの日のごちそうだったのよ。
だからよく「ひづめと鳴き声以外は全部食べる」といわれるけど、頭から尻尾まで余すところなく使い切るのは、沖縄の人達の知恵なのよね。
※1
冊封使(サッポウシ) : 中国皇帝からの使節団

本当においしい。幻の黒豚の最高級の味を、ご家庭に

岸 朝子
それにしても、この「やんばる島豚 あぐー」、おいしいわね。柔らかいし、脂の甘みやうまみが存分に味わえますね。
尚 承
でしょう?臭みもないでしょ?
一般の豚肉の2倍以上のうまみ成分(グルタミン酸)が含まれているんですよ。低コレステロールでビタミンB1も豊富ですし。
岸 朝子
でも「あぐー」は、成長するのに時間もかかるし、産子数も少ないし、コストもかかるでしょう?
尚 承
ええ、確かにその通りです。「やんばる島豚 あぐー」は普通の豚よりも手間暇がかかりますが、こだわりと情熱を持つ生産者によって食卓へ届くことが可能になったんです。
生産者の我那覇明さんは、琉球在来豚アグー保存会の理事もされている方なんですが、のびやかな自然のなかでじっくりと丁寧にあぐー豚を育てられています。
餌にもこだわって配合されています※2 。特に脂身を見るとその違いが一目瞭然ですね。
岸 朝子
まあ、たくさんの人の想いが詰まった豚なのね。それでは、どんな料理がおすすめ?
尚 承
やはり脂身がおいしいので、シンプルに手を加えずにが一番良いと思います。バラ肉を3mmぐらいの厚さに切って、さっとあぶり焼きにすると脂の甘みがぐっと増すんです。
あとはさっと湯通しするしゃぶしゃぶもいいですね。
岸 朝子
豚ちりね? 脂肪を落として食べるのはいいわね。野菜もたっぷり食べられるしね。
※2
麦をメインに与那国島産化石サンゴ、ヨモギ、海藻、ニンニクなどが配合されている

「医食同源」の思想を受け継ぐ沖縄の食文化

岸 朝子
ところで沖縄は長寿県として知られるけれど、やはり中国の「医食同源」の思想を受け継ぐ食文化と深い関係があるわよね。
尚 承
沖縄の伝統食を食べている高齢者が日本一の平均寿命を維持していますからね。
岸 朝子
沖縄の食の特徴は、良質なたんぱく質を摂取していることだと思うわ。まず、動物性の豚肉や魚介類。しかも、豚肉はかたまりをゆでて使うのよ。
3回ゆでると、30%もの脂肪がカットされるの。
それからチャンプルーに欠かせない沖縄豆腐。一般の木綿豆腐の1.3倍の植物性たんぱく質が含まれていて、天然のにがりを使って生絞り法という独特の製法でつくられるのよね。
尚 承
ゴーヤーや田いもなどの野菜、フーチバー(ヨモギ)や二ガナなどの薬草、もずくやアーサ(ひとえぐさ)などの海藻もよく食べますし。
岸 朝子
そうそう。それから調味料として豚脂も使うのよね。豚肉の脂を焼いて保存しておく。炒め物や汁物に入れるとビタミンAやカロテンが利用しやすい形になるし、青野菜もやわらかくなる。
塩分控えめで味わい深くなるの。もう5〜6年前になるけれど、沖縄の食塩の摂取量は日本一少ないから、生活習慣病の人も少ないという報告がありましたもの。
尚 承
豚やかつお、昆布のだしを使って、奥深くコクのある味を出す。人工的なうまみじゃなくて、自然のうまみ「クーター」文化なんですね。
岸 朝子
古くからの沖縄の人々の知恵がうかがえますね。

—— 本日は貴重なお話、有難うございました。

対談で試食していただいたメニューと岸さんのコメント

豆乳しゃぶしゃぶ

豆乳しゃぶしゃぶ

「ロース、肩ロース、バラと変化が楽しめるのがいいわね。あぐーのつみれも入っているし。豆乳のやさしさが豚肉のおいしさを一層引き出しますね」

さらに詳しく

あぐー豚のコロッケ

あぐー豚のコロッケ

「あぐーのうまみがしっかりと出てます」

豆乳プリン

沖縄島豆腐の豆乳プリン(黒糖おから入り)

「沖縄豆腐の豆乳を使っているから濃厚。黒糖のコクが効いていますね。文句なしのおいしさです」